2015.09.27第一章 難しい?羽毛布団の選び方 ~氾濫するでたらめ情報~
3.羽毛布団の基礎知識
ここまでの話でも、皆様はほとんどご存じない情報だったのではないでしょうか?「イイ羽毛布団」を見分けるために、知っておいていただきたい羽毛布団の基礎知識が、まだたくさんあります。ここからは、その基礎知識をお伝えしていきます。
①かさ高とは?
かさ高とは、羽毛の品質を表す値の一つ(単位:㎜)なのですが、よく羽毛布団の厚さや、羽毛布団に入っている羽毛の量と勘違いされることがあります。しかし、そうではありません。普通の布団に入っている羽毛の重さはほぼ同じです。なので、厚かったり羽毛が多かったりすればかさ高が高いというわけではありません。
では、本当のかさ高の意味とは何なのか?
それは、羽毛の膨らむパワーを数値化したもののことなのです。
その数値の測り方は、30gの試験羽毛を円筒の中に静かに落下させ、次に荷重用円盤を静かに降下させ荷重用円盤をつるしている糸が緩んだ時から2分後の荷重用円盤の高さを測定します。この操作を3回繰り返したものの平均値(m/m)がかさ高になります。
したがって、かさ高の数値が高いということは・・・
↓空気をたくさん含むことができる
↓よって、布団の外の外気を遮断する空気の層が厚くなる
↓よって、暖かい
【かさ高の測定方法】
また、かさ高のある羽毛は成熟した体の大きな鳥から採取されるので、耐久性もありいい羽毛と言えます。
②グースとダック
大きく分けると、羽毛には、グース(=ガチョウ)とダック(=アヒル)の2種類があります。
具体的な特徴は、
◆グース(=ガチョウ)
・・・身体が大きい、羽が大きい、かさ高が大きい、においが少ない
◆ダック(=アヒル)
・・・体が小さい、羽が小さい、かさ高が小さい、においがきつい
といったことがあります。
においに関しては、人間にも体臭が多かれ少なかれ誰にでもあるのと同じように、ガチョウにもアヒルにもあります。そのにおいが、ガチョウの場合は少なく緩和されやすいのですが、アヒルのにおいは結構気になってしまう人もいるようです。
こうして比べてみると、断然グースの方が良いということが分かると思います。そして、価格も当然ダックより高くなります。特に良質のものになると、グースがダックの2倍の価格になるものもあります。
また、ほとんどのグースやダックはフォアグラや食肉用として飼育され、羽毛はどちらかというと、副産物なのです。
この他にも、極地のみに生息するアイダーという野生の鴨のダウンなど、希少価値の羽毛も特殊高級用品として僅かな数量が使われています。
③側生地とは?
側生地とは、羽毛を包む生地のことを言います。よい羽毛布団は、かさ高の高い羽毛を軽くしなやかな生地で包み込むことで完成します。やわらかい生地は、寝返りを打っても隙間を作ることなく、体にぴったりとフィットして保温性を高めるため、心地よい暖かさの提供に繋がります。
では、よい側生地とはどういったものなのでしょうか?
それは、細い糸を使い、よりきめ細やかに織り込んであるもののことです。女性が使うようなハンカチと学生が使う白いハンカチを想像していただければ分かりやすいかと思います。女性用のものは、学生が使うような白いハンカチとは硬さが違うということがお分かりいただけたでしょうか?
④抜け道だらけ?表示の“規定”
羽毛布団業界には、羽毛寝具に関する品質基準の制定を行っている「日本羽毛製品協同組合」というものが存在しています。
羽毛布団の需要が高まってくると同時に、品質基準というものを分かりやすく消費者に伝えるために、“品質表示規定”というものが1982年に実施されました。しかし、この規定は、“家庭用品品質表示法”という自主規制対象に加えられるというだけであり、決して強制力を持っているものではないのです。
この、家庭用品品質表示法とは、一体どのような法律なのでしょうか?
これは、1962年に制定された、一般消費者に販売される家庭用品に対して、そのほとんど全てに適正な品質表示をほぼ義務化する法律です。ここで言う家庭用品とは、繊維製品、合成樹脂加工品、電気機器具及び雑貨工業品を指しており、生活必需品のほとんどが含まれています。また、繊維製品の分類に関して特に記載がないため、全ての繊維製品が該当することになります。
この法律では、その製品を広く販売していない場合は、表示義務を免れる可能性があり、それに加え、現在は、自主規制対象の段階であり、悪徳な「インチキ羽毛布団」を販売している業者にとっては、たくさんの言い訳や抜け道が存在してしまうのです。
以上、①かさ高、②グースとダック、③側生地、④表示の“規定”の4点が、羽毛布団を語る上で知っておいていただきたい基礎知識です。
この情報は、ウソ偽り、間違いのない情報です。たくさんの情報が氾濫し、本当に「イイ羽毛布団」を選ぶことが難しい中で、この基礎知識をご理解いただくことは、「インチキ羽毛布団」と「イイ羽毛布団」の違いを見極める第一歩となると思います。